フランスガム製菓学院

フランスガム製菓学院という学校は
ある国のある街のある処にひっそりとたたずんでおります。
そこではたくさんの生徒たちが
お菓子の作り方とともに お菓子な人生の作り方を学んでいるのです。

そんなお菓子なお話を 少しづつ皆様へお届けいたします。
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ウカリシタ・カリコのお話

ウカリシタ・カリコは
フランスガム製菓学院の学生でした。

2月に入ると 
街のチョコレート屋さんは賑わいだしました。
色とりどりの包み紙にはリボンがかけられ
お店のショウ・ウインドウに並びました。

ウカリシタ・カリコも
いつもは前を通り過ぎるだけの
外国の名前のついたチョコレート屋さんに入り
大きなハート型をしたチョコレートをひとつ 買いました。

2月の14日
バレンタインデーの日がやってきました。
ウカリシタ・カリコは
とびきりのお洒落をして
ボーイフレンドのウワテ・テワオ君と待ち合わせしている
通りのカフェへと向いました。
なんだか特別な日のようで 足取りもはずみました。

(でも なにか 忘れている気がしていたのです)

ふたりはカフェで 
レコード盤の話や くじらの話なんかを少しすると
流行の映画「あなたの忘れものに気付いて」を観にゆきました。

主題歌を唄うのは人気フォークデュオ ワスレナグサ。 
♪あなたは なにか わすれて いるのよう♪

レストランでワインを飲みながら
映画の主題である
本当の忘れものは何かという議論をしているうちに
夜も更けてきたので
ふたりはそれぞれの家へと帰りました。


すっかりいい気分のウカリシタ・カリコは
パジャマに着替え 髪をとかしながら
ふとキッチンのテーブルを眺めると
そこにリボンのかかったままのチョコレートが
のっているのを見つけました。

「しまった! うっかりした!
 チョコレートを渡すのをわすれたわ!」

ラジオからは
さっきみた映画の主題歌が流れていました。
♪きづくのは いつでも すぎたあとなのよう♪

「もうウワテ・テワオくんは あたしのことなんて
 嫌いになっちゃったに違いないんだわあ。」

ウカリシタ・カリコは
うっかりした自分を悔やみ 涙を流しました。


次の日
ウカリシタ・カリコは
あたまががんがんして 学校を休みました。
頭痛の種であるチョコレートの包みをほどき
ハートを粉々にくだいてしまいました。
そのままごみ箱に捨てようかと考えましたが
とてもいい香りがするので
おやつに焼くスコーンに入れることにしました。
残りは溶かして
ホット・チョコレートドリンクに。
(なにしろハートのチョコレートはとても大きかったのです)

学校のことは少し気になりながらも
お天気がよいので
焼きあがったスコーンとホットチョコレートを水筒につめて
公園に出掛けました。


芝生におやつをひろげ
いただきます 
ちょうどその時
「やあ」
そこにはウワテ・テワオ君が立っていました。
ウワテ・テワオ君は
お皿のスコーンをひとつ持ち上げ ぱくり と食べました。

「ああ チョコレートか。
 そうか 今日は バレンタインデーだったね!」
といってにっこり笑うと
勤務先の海洋学研究所へと去ってゆきました。


ウカリシタ・カリコは
もしかしたら バレンタインデーは 明日じゃなかったかしら?
と思いながら 残りのスコーンを頬張るのでした。



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