フランスガム製菓学院

フランスガム製菓学院という学校は
ある国のある街のある処にひっそりとたたずんでおります。
そこではたくさんの生徒たちが
お菓子の作り方とともに お菓子な人生の作り方を学んでいるのです。

そんなお菓子なお話を 少しづつ皆様へお届けいたします。
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ツブラヤ・ツブカのお話

ツブラヤ・ツブカは
フランスガム製菓学院の学生でした。
ツブラヤ・ツブカは
ショート・カットでそばかすのある女の子でした。

彼女は同じクラスの
イチカワ・イチゴロウくんのことを
密かにすてきだなと思っていました。

イチカワ・イチゴロウくんは
春にとれる果物の様な
甘い香りのする男の子でした。
ツブラヤ・ツブカは
その香りにしばしばうっとりし
いつまでもその中に漂っていたいと思いました。

イチカワ・イチゴロウくんは
ツブラヤ・ツブカが自分を見つめているのに気付いて言いました。

「僕の顔に なにか ついてるかい?」

そのとたん 
ツブラヤ・ツブカの顔は 真っ赤になりました。
まるでそばかすのつぶつぶがついたいちごのようでした。
そして大きな声で叫びました。

「あんたの顔には まるで いちごみたいな
 つぶつぶのあかいおできが たくさんついてるわ!
 それに あんたったら ひどくイカレタニオイがするわよ!」

イチカワ・イチゴロウくんは
悲しそうに下を向きました。
ツブラヤ・ツブカは
胸がぎゅうとしめつけられるような気がして
もっともっと真っ赤になりました。
このままつぶれて
消えてなくなってしまいたいと思いました。
その顔はまるで 熟しすぎてつぶれたいちごのようでした。

ツブラヤ・ツブカは
いつでも思っていることとは
まったく逆の事を言ってしまうのです。


その日の 実習の課題は「いちご白玉の 豆乳しるこ」

真っ赤ないちごを白玉でくるんで
つぶつぶのいちごをまぜた豆乳のおしるこに
うかべるのです。
できあがったおしるこをみんなで試食。

いただきます。

ツブラヤ・ツブカは
食べる前に自分の白玉をひとつスプーンですくい
イチカワ・イチゴロウくんのおしるこにぽとりと入れました。
イチカワ・イチゴロウくんは
すこし驚いた様子でしたが
その白玉を口に入れると にこりと笑いました。
口の中ではいちごのあまいあまい香りが
たくさんに広がっていました。

先生は頷きながら黒板にひとこと

フランスガム格言:
真実は しばしば もちにくるまれり


(すっぱいいちごには気をつけて!)

  
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